RCスペシャルインタビュー

大人をドキドキさせる
クーペの魅力 取材・公開日 / 2014.10

RC

草間栄一
Lexus International
RC開発責任者

見る人を魅了し乗る人を情熱的に

車両の後部が傾斜し、流麗なフォルムを特徴とするクーペ。2ドアで、後席がなかったり、あっても狭かったりするが、車内空間や利便性をそぎ落としても美しさ、かっこ良さを追求するのがクーペの真骨頂だ。
世界を見渡せば、プレミアムクーペの市場はドイツ勢を中心に強豪がひしめいている。欧米ではクルマ好きのリッチ層に愛され、初老の婦人もまた優雅にクーペを走らせる。そんな趣味性の高い市場に、レクサスは満を持して『RC』を投入する。
「RCは”レクサスのイメージを変える“という使命を帯びたクルマです。クーペは市場規模こそ大きくありませんが、ブランドイメージを高める上でとても重要な位置づけです」と話すのはレクサスインターナショナルの草間栄一氏。クーペのエレガントな魅力は、ヨーロッパ赴任時代に実体験として再認識したという。一方で、30年にもわたって理想の走りも追求してきた。それらを今回、全長4695㍉、全幅1840㍉、全高1395㍉というワイド&ローのボディーに集約。開発コンセプトは”誘惑するセクシーなクーペ“だ。

セオリーを破ったスペシャルメイド

「クーペの命は、デザインと走りにあると思います。官能に訴えかけるセクシーなデザインと、そのスタイリングにふさわしい情熱的な走りを実現するために、開発手法やプロセスを改めました」
その一例が後輪周りの張り出し。抑揚の強いフォルムを成形するために、従来のルールにとらわれることなく、新しい生産技術を導入した。「難題ばかり。でも私だけでなく開発陣全員に”かっこいいクーペをつくるんだ“という意気込みがありました。だから大胆なデザインにもかかわらず、製品化することができたのだと思います」と振り返る草間氏。RCの眺めで一番好きなのは、後輪周りのボリューム感が最もよく分かる、後ろ斜めからの眺めだという。

ドライビングの愉しさも追求

RCのカラーデザインは主に女性スタッフが担当。内外装のカラーには微妙なニュアンスにも気を配る女性の感性がいかされている。

スポーツカー並みの本格性能も魅力のひとつ。ドライバーの気分に合わせて、時に穏やかに、時に俊敏にと、そんな異なる欲求に応える。
「RCは、FRスポーツの資質に恵まれたクーペです。少し専門的になりますが、FRの特性、つまりコーナリング時にアクセル操作だけで車両姿勢を微妙に変化させられる点をいかし、アジリティー(俊敏)を徹底的に追求しました。腕の立つドライバーも満足できるよう、これまでレクサスが積み上げてきたボディー剛性に関する知見のすべてを注ぎ込み、各地のサーキットで鍛えました」
パワーユニットは高い環境性能を誇る2・5ℓハイブリッドまたは高出力の3・5ℓV6エンジンが搭載される。その走りで一番大切にしたのは「ドライビングの愉しさ」だと語気を強める。「単に性能が高いだけでなく、誰もがワクワク、ドキドキしてしまうような、感性を刺激する走りです。特にコーナーを駆け抜ける気持ち良さは格別です。演出面にも力を入れました。室内に心地よく響くエンジンサウンドはそのひとつで、胸のすく走りを印象的に演出します」

スポーツカー並みの運動性能(アスリート)を秘めながら、エレガントかつ妖艶なスタイルをまとう2ドアクーペ、RC。

赤のボディーカラーにも注目したい。「見る角度や光の干渉によって表情を変える艶やかな新色で、これも新たな挑戦のひとつです。RCが変えようとしているのはレクサスのブランドイメージだけでなく、レクサスのクルマづくりそのものといえるかもしれません」
草間氏がRCの開発でいつも想い描いていたこと。それは「30代~40代の独身男性あるいはカップルが、海岸沿いの夕日のきれいなレストランやバレットパーキングのある高級ホテルに乗りつける、あるいは風光明媚なワインディングロードを駆け上がる映画のようなシーンです」
そんなドラマティックに仕上がったRCが、いよいよ日本に登場する。

※このインタビュー記事は、本サイト独自取材のもので、開発責任者インタビューシリーズ、バックナンバーです。
車両情報、部署、役職、その他の情報は記事公開当時のもので、現在とは異なる場合がございます。